2013年10月7日月曜日

9月度活動報告(文献調査,観覧)

ヨコ勉Now!
まだまだヨコエビ勉強中です。

でも最近は論文をぜんぜん読んでいませんね。
とりあえず手元にあるAmphipod Newsletterを全て読み返して 、自分の種リストに入っているか確認します。ただ、某氏の種リストが非常に使いにくいことが分かってげんなり。
改めて学生時代に作った自分のリストがかなり作り込まれていたことを実感。
WoRMSあたりの記事を適当にツギハギでコピペしただけだった気もするけど・・・


・博物館に行きました


大阪自然史博物館に行った話は書きましたが、今度は上野に行きました。
そう、宣言通り、科学博物館の深海展を観てきました。イェィ!

ぼっち参戦の予定が、友人とつるんでの上野。彼も私のツイッターやブログを読んでいるかのごとく科博を推してくれて・・・あれ・・・ひょっとして本当に読まれてる・・・のか?(汗)

どこにヨコエビいるかな~とあちこちを見渡して、変なフクロエビ上目のシルエットを見つけては、「違う、これは等脚目だ」と落胆していたが、とうとう深海の甲殻類のコーナーにヨコエビを発見



なにしらないこの子




相当でかい

調べてみたらスンナリヨコエビ科Maerideaとのこと。
すんなり分からなかったZE。
(というか、今適当につけちゃったけどこの日本語科名は果たして正しいのか)



そしてオオタルマワシさん!
我ら端脚目クラスタ一番の稼ぎ頭!!

かっちょええですわ。



そしてクラゲノミさん!
何がどうなってるのかチビっ子には絶対に理解されてないよ!





こっちは少し離れたところにあるコーナー。クラゲなんかに付着する連中、すなわち浮遊生物の体表面を生活基質として利用する生き物の展示。







クラゲノミさん。


オオタルマワシさん。

パネルの表示に明らかな誤りを見つけたけどそのまま帰ってきちゃったな・・・




あれーまだあいつ出てこないよーおかしいなあ、と思っていたら、とうとう来ました。

コーナーとしては、セルロース分解生物。
あいつの特技、すっかり忘れてた。

深海には消化しやすいお肉とかはそうそう落ちてなくて、あるものを食べるしかない。そこで、分解できる生物がほとんどいない、セルロース(植物の繊維)を分解できるよう進化した生き物がいる。陸上だとシロアリがそうだけど、深海ではカイコウオオソコエビHirondellea gigasがそうなのだ。



どーん



ちなみに、分解できるといっても、本人達が何か特殊な消化液を出すのではなく、消化管内に共生したセルロース分解バクテリアの作用によって、分解するのであります。




樹脂封入標本という抜群の扱いの良さ。
これは研究用標本ではなく、展示用のためだけの標本ということである。
こいつも稼ぎ頭や。大きいことは正義や。

同行の友人に底節板の素晴らしさを力説するも、反応薄い。

そりゃ、ヨコエビ好きな集まりじゃないもんな・・・


これだけヨコエビが見れるだけでもすごいのに、底節板の中まで覗ける展示なんて、そうはないですよ!

というか、よく考えると、ヨコエビ亜目はオニノコギリヨコエビMegaceradocus gigasとカイコウオオソコエビH. gigasの、巨人(Gigas)コンビだけだったか!



 10月も三番瀬の調査をやりますが、まだ行けるか分からない。ヨコエビ獲っていられるかもよく分からない。
在宅としてできることをやります。
とりあえずAmphipod Newsletterの洗い直しと、テングヨコエビ科の体系の整理かな。



















2013年8月15日木曜日

8月の活動報告(大阪遠征)


更新が遅いです!どうもすみません!


お盆に調査とかアリだな、って言ったりしていましたが、それほど暇にならず、できないことが判明。で、何を狂ったのか遠征。


http://www.mus-nh.city.osaka.jp/tokuten/

大阪市立自然史博物館

「いきもの いっぱい 大阪湾 ~フナムシからクジラまで~」



に行ってきたで~~♪♪♪


撮影制限がほぼないというネ申展示。



大阪水試絡みという話をきき、これはドロソコエビの展示を外す訳がない。そう信じて、確証もないまま大阪まで来ちゃいました。


で、結果は










思ったより扱いが良すぎて震える





 初めて見るオオサカドロソコエビGrandidierella osakaensisはダーラム管越しだからやっぱりよく見えなかったけど、有山氏の仕事を間近で見れることに感動。連れの友人たちにAriyama,1996の素晴らしさを力説するも反応薄い。

そりゃ、ヨコエビ好きの集まりじゃないからね・・




これだけでも相当満足したのに、まだまだヨコエビが続く。


ヒゲツノメリタヨコエビMelita rylovae setiflagellaヒメハマトビムシ
三番瀬にもいるコンビ!

ヒメハマトビムシの学名にPlatorchestia platensisが当てられている!
解剖したい!
(※投稿後、学名の誤りを訂正しました)


展示構成は生息環境を軸にしていて、その場所ごとに様々な生物の標本が展示されています。すごい物量。ぎっしり並べてあるのに見やすいです。
貝や海藻の乾燥標本,イルカ・クジラの骨格標本,鳥類の剥製、とにかくバラエティに富んでいます。パネルも、最低限の地理や社会的な説明を入れつつ、メインはやはり実物を見せるという姿勢が感じられました。
生体展示は、クロベンケイガニ,ヤマトシジミ,アシハラガニ。そして、フナムシ,キタフナムシ。空前のクラスタセアン推し。タカノケフサイソガニもいると書いてありましたが見れず残念。




そしてヨコエビはまだまだ続く。 

イソヨコエビElasmopus japonicaきた!
小さくてぜんぜん見えないよ!
でもかわいいよ!


モクズヨコエビHyale grandicornisニッポンモバヨコエビAmpithoe lacertosaも!
モクズヨコエビは初見!
ニッポンモバヨコエビは小櫃とか横浜のより小さい!
たまたまかな。



 興奮のうちに企画展を出て、本館へ。時間の都合で若干駆け足になりましたが、本館もまた素晴らしい。オーソドックスな標本の展示,豪華な模型、そして愛を感じるラベルや説明文ですね。

(ただ、クビキリギスとヤブキリの標本はいちど全て再同定したほうがいいかもしれませんね・・・)


 驚いたのは植物生態学の展示。メタ個体群など最新の知見をいちはやく取り込み、明快かつ視覚的に訴求する展示の技術と思想に感服しました。あのコーナーは、生態学を学ぶ大学生にはぴったり。 

(生態学なんて大学で選択しちゃだめだと思いますけどね・・・)





さて、大阪市立自然史博物館は、実はグッズも充実していました。



これは博物館オリジナルバンダナ。
ヨコエビが書かれているバンダナ初めて見た!
即購入!



オリジナルリーフレット『大阪湾の磯の甲殻類』のほうは、ヨコエビ類に関しては永田,1975のデチューン仕様。
『干潟ベントスフィールド図鑑』は恐らくこないだ教えてもらったやつ。これってWIJのフィールド図鑑の焼き直しじゃないですか。ただ、ヨコエビ類に関しては多留氏が担当と思われ、ヒメハマトビムシにPlatorchestia pasificaを、フサゲモクズにPtilohyale barbicornisをあてるなど、ちょっと新しくなってる気がする。Ampithoe validaからはcf.を外してもいいような気もしますが、標本がないということでしょうか。



さて、大満足のうちに 遠征は終了し、私はお土産を抱えて大阪を後にました。
サヨナラ、ありがとう。
付き合ってくれた皆さんも本当にありがとう。
たまにはいいよね、こういうの。


あとは、上野の深海展かなあ・・
カイコウオオソコエビHirondellea gigasの標本があるはずなんだよね・・
(これも憶測)





<引用文献>

- 永田樹三. 1975. 端脚目 (AMPHIPODA) 概説. In; 岡田要『新日本海岸動物図鑑〔中〕』 第六版. 北隆館, 東京.

- Ariyama, H. 1996. Four species of the genus Grandidierella (Crustacea: Amphipoda: Aoridae) from Osaka Bay and the Northern Part of Kii Channel, Central Japan. Publication of the Seto Marine Biological Laboratory, 37(1/2): 167-191.







2013年6月16日日曜日

6月度活動報告

ヨコ活やってま~す・・と言いたいところですが、5月は何にもやってません。

今日はNPOの会議。そして、海の上から三番瀬を見ることができました。
これぞハッピーサプライズ!


海が青いです。

青潮ですね。



 おっ、「しらせ」発見。




 どーん。

南極に行って帰ってきた船ですよね。ロマンを感じます。


航路に出ると、部分的にですが温泉地のようなすごい硫黄臭。
青潮から逃れるように、船橋漁港にボラやハゼの小さな個体が押し寄せて、釣りに興じている人も。

しかし、底質は見れてないので、ヨコエビはほとんど見つけられていません。
漁港に置かれた漁船の中で、ヒメハマトビムシPlatorchestia pacifica [sensu lato]らしきヨコエビは見ました。



未確認なのですが、新しく出たベントスのガイドブックにヨコエビの記述が充実しているらしいので、手に入ったら取り上げようと思います。


SNSで全く別の活動をやっていましたが、それをやめてこちらに力を入れたいと考えています。
(これ、考えてるだけのパターンやな・・)










2013年4月30日火曜日

4月の活動報告(三番瀬)


今月も何とかブログのネタがありました。

私が今回参加したのも、また合同調査です。
ヨコエビに夢中になって集団の和を乱したり乱さなかったり・・
気付いているくせにやめれない・・


当ブログで、少し前に夜間調査の話をしましたが、そのプロジェクトの一環でのベントス調査に行ってきました。
調査場所は三番瀬。大学の頃は週2回くらいのペースで通ってました。

写真は船橋側です。



潮干狩りに来た親子連れが多い!見ろ!人がスズガモのようだ!
(※肖像権に配慮して、潮干狩り客の写真は載せません)



杭についているロープを調べてみると、ヨコエビキタ━(゚∀゚)━! !!!



オスの2nd Gnathopodの形状が気になったので持ち帰って他の特徴を検討したところ、どうやらニッポンモバヨコエビAmpithoe lacertosaのようです。この種は、三番瀬では初めて獲りました。盤洲でも確認していますが、もっと岸から離れた場所で獲れたような気が・・

この後、海藻をいろいろと見てまわりましたが、獲れたAmpithoeは全てlacertosaでした。validaどこいった?


色々と杭を見てまわると、泥の塊を発見。もう、お決まりの・・

アリアケドロクダムシMonocorophium acherusicumです。

この写真はピントがやや合ってませんが、かなりの数の個体が写っています。
泥の塊の右上端に、オスの大きな第二触角が見えますね。 見えませんかね。

この泥の塊を調べてみると、

 竹の杭が打ちこまれる
→フジツボが付く
→イガイが付く
→足糸の間に泥が溜まる
→ドロクダが管を作って棲みつく
→筆者が誘引される

という流れだったようです。
「住み込み」の最たるものかと。


Ampithoeは論文を読めば普通種ならだいたいの場合は種までいけると思っているのですが、北米での記載が多く、そのまま同定して良いか迷う人も多いようです。
また、触角に毛の多いような種(A.zachsiA.koreanaなど)は、まだまだ日本で名前のついてないものもいるような気がします。
そもそもAmpithoeには、オスの2nd gnathopodが、propodasにトゲをもつような派手なsubchalateになるものと、A.validaのようにpropodasが細長くシンプルなrectipalmateになるものがいて、多系統なんじゃないの~と言いたくなることもあります。

形質がある程度多様なのは、仕方ないとして、広域分布なのも、当面は目をつぶって、とにかく一定の根拠を示してヨコエビに名前を付けていかなければ、何の足がかりもない状態が続いていくことになるかと思って、私はこうして名前を付け続けています。
ヨコエビのようにマイナーな分類群では、ネット掲示板とかで素人さんに素人さんが絵合わせだけで同定をサポートして、その結果が伝言ゲームで色々なサイトに拡散されて、いつしかマジョリティーになったりすると思うので、後追いができることは大切だと考えています。

ちなみに、今回はとりあえず「東京湾のヨコエビガイドブック」(笑)で形質を確認しました。
Chapman(2007)を参照すれば、より多くの種を確認できます。


さて、今後の活動はどうしよう。
外付HDぶっ飛んで、論文のバックアップをいちいちDVDにとりにいかなきゃいけなくなって、作業効率が大幅に落ち込んだしな・・
GWに新しいPCを開梱して設定する予定なので、今後の推し事はそっちでやります。たぶん。



先月に引き続きChapman Chapterを引用。John推しです!



<参考資料>

- Chapman, J.W. (2007) Gammaridea. In; Carlton, J.T.(ed.) 『The Light and Smith manual intertidal invertebrates from central California to Oregon, fourth edition』 Completely Revised and Expanded. University California Press, pp. 545-618.

2013年3月21日木曜日

3月の活動報告(青森・三沢漁港)


言い訳だとか過ちだとかを、いまさら何を言っても関係ないですね。
映ってしまったものは仕方がない。


3月20日、朝10時15分、三沢漁港へ。


 じつは新幹線を寝過ごして遠回りしたという失態。
 青森県初入県にして、このしでかし。
 そして乗り込んだタクシー。漁港内を大仰に一周した運ちゃんに若干の敵意を滲ませた。
 入口でいいって言ったのに!

 さて、海なし県埼玉のしがないサラリーマンがたった1日の休みを使って青森まで足を運んだ最大の理由は、オレゴン州立大のJohn Chapman博士に会うため。Light manualの端脚目の部分(Chapman 2007)を担当されるなど、カリフォルニア界隈のヨコエビといえばこの方、というイメージがあります。また、日本からアメリカへのニッポンドロソコエビGranddierella japonicaの移入を論じた論文(Chapman 1975)はそのテーマもさることながら形態の記載も詳細で、卒論で読んだ500本余りの論文の中でも最も好きなものの一つです。

今回の調査の具体的な内容としては、浮桟橋に付着している生物をコドラート(方形枠)で採取して持ち帰り、単位面積あたりの生物種数と量を調べるという、いわば王道的な手法です。
 先の震災で発生した津波によって、三沢漁港の4つの浮桟橋が太平洋へと流され、うち2つがアメリカ本土に漂着したとのことです。その、漂着した桟橋に付着していた生物と、現在三沢漁港でみられる生物とがどのくらい重複しているかを分析するようです。例えば、アメリカで新たに付着したと思われる生物はいないか、または流されてくる間にどのくらい死滅するのか、など。
 現在、漂着瓦礫(Tsunami debris)は国際問題となっていて、 漂着先に与える影響の一つとして付着生物の移入というのは無視できないもののようです。生態系の汚染は、人間に直接の危害はなくとも、長い目で見るとその土地の生物の有り様を大きく変えてしまうものです。

取材を受けるJohnと風呂田教授。

 調査結果の詳細はJohnの論文として発表されることになりますが、ヨコエビの出現科としてはお台場,神奈川方面の護岸でみられるような感じに近いらしいです。
 体長20mm近いヨコエビも得られましたが、細部の観察をしないと種までは落ちません。

 目からウロコだったのは、日本の普通種で、北アメリカでよく記載されるようないわばコスモポリタン種が、実はアジア起源なのではというJohnの説。海流の関係からすると、たしかし!と肯ける。もちろん、日本でのヨコエビをはじめとする様々な生物の記載が遅れているのは調査が行われていなかっただけで、タイプ標本が得られた場所(Type locality)が必ずしも原産地ではないことは承知していましたが、まさかまさか。あの種もあの種も、元は日本なのかな?そう思うとワクワクしてきます。

 Johnは私の作ったガイドブックやTシャツの話もしてくれて、未記載種(新種)が含まれてるはずだから記載しないか、と言ってくれました。そのためには月のお給料に匹敵する出費をして描画装置付きの顕微鏡を買わなくてはならない!無理!
 だからせめて、今手元にある資料の整理と、必要なものの洗い出しを行って、あとは実行するだけという状態を作らなければと思いました。

じゃあ、いつやるか。今でしょう。



P.S.

TBSのNews23Xでとりあげられて偉そうに喋りました。 
教授の受け売りです。
大学関係者でも何でもないのに、失礼致しました。
関係方面から「お前何してるん?」と問い合わせがありました。
ぺろっ。



Thank you for your present for me, John.
Now displaying it on my desk =)
See you next time!





<参考文献>

-Chapman, J.W. and Dorman, J.A. (1975) Diagnosis, systematics, and notes on Grandidierella japonica (Amphipoda : Gammaridea) and its introduction to The Pacific Coast of The United States. Bulletin of the Southern California Academy of Sciences, 74(3): 104-108.


- Chapman, J.W. (2007) Gammaridea. In; Carlton, J.T.(ed.) 『The Light and Smith manual intertidal invertebrates from central California to Oregon, fourth edition』 Completely Revised and Expanded. University California Press, pp. 545-618.




2013年2月17日日曜日

2013年2月の活動

頑張ってもみるよ、という意思表示なのか、これまでにない短期間でのブログ更新に至りました。ご声援ありがとうございます。
しかしこれは長続きしないパターンです・・

さて、予告していたベントス調査、無事に行うことができました。
事務局に確認していないため(確認しなさいよ)、背景は一切説明せず、とにかくヨコエビの話しかしません。ご了承ください。


東京湾湾奥の某海域です。夜です。
新月の大潮で、御覧の通り真っ暗でした。

ベントス調査は先日の多摩川&三番瀬以来になります。このため、色々と勝手を忘れていて、サンプル用の瓶やチャック袋もなければ、ライトもないという、夜の干潟を完全にナメている装備でした。でも、胴長だけは冬の渓流仕様の高いやつでした(^^;)

(昔、間違って買っちゃったやつです)

本調査があるので、私は暇を見つけてはそのへんのものを拾ってガシャガシャやるというパターン。
悪い写真ですみません。報告書に使えなさそうなショットを選んで掲載しております。わざとです。

これはエドカサネカンザシ※1の棲管が集まったもの。他にも、杭に付着した海藻のカタマリなどを採取。 杭に付着=アリアケドロクダムシMonocorophium acherusicumの棲管 というイメージがありますが、それらしいものは全く確認できず。
リップルマークは、普段見慣れているお白州のような模様ではなく、網の目状になっていました。


・・で、何が出たかというと




モズミヨコエビAmpithoe varidaの抱卵♀。かと思いきや、もう卵が孵化して子供がたくさん。思わず叫び、そしてヨコエビの母性愛について熱く熱く語ってしまいました。

「見て下さいほら、ここに子供たちが・・」
「そうなんです、ヨコエビって、プランクトン幼生期がないんです!直達発生なんですよ!」
「こうやって、母親が卵から子供まで守ってやるんですよ。」
「子育てにはこのコクサルプレート、つまり底節板の構造が重要なんですよ。この溝を、こう、水が流れて、新鮮な海水を運んで、酸素が卵に・・」


周囲はドン引き。


他にもドロクダムシ科の一種が得られたのですが、細部を観察する前にどこかへ行ってしまいました。


あとは、こちら

モズミヨコエビの子供に混じっていましたが、見つけました(ドヤァ。 
おそらく、ポシェットトゲオヨコエビEogammarus possjeticusでしょう。ポシェットたんです。ポシェットと言っても肩から下げるあのポシェットではありませんよ。詳細はTzvetkova(1967)参照。

この海域では、春先からモズミヨコエビやポシェットトゲオヨコエビが増えてくるようなイメージがありますが、時期的にまだまだ数が少ないということなのか、今年は棲みかが少ないのか・・?
このポシェットは明らかに、生まれてからさほど成長していない子供です。再生産が行われていることは喜ばしいのですが、今後どうなるかは分かりません。



この調査は今後も継続していく予定ではありますが、それに甘んじていてはいけませんね。
自分の両手でつかみとらないと、サンプルは得られません。
どこ行こうかな・・


これら調査一連のデータは、NPOの報告書という形で世に出るはずです。
私はひたすらヨコエビの存在感を高める推し事に精を出します。それじゃダメじゃん。




<参考文献>

-Tzvetkova, N.L. (1967) Issledovanija fauny morej V (XIII) Biochenozy Zaliva Possjet Japonskogo Morja, Gidroviolodicheskie raboty s pomosshju akvalangov
[ Explorations of the fauna of the seas V ( XIII ) Biocoenoses of the Possjet Bay of the Sea of Japan (Hydrobiological investigations by means of aqualungs ) ].
Akademija Nauk SSSR, Zoologicheskii Institut [ Academy of Science of the USSR ,
Zoological Institute ], 5: 160–195.



追記

※1 エドカサネカンザシ
てやんでい!
これはエゾカサネカンザシHydroides ezoensisの誤りです。
学名からして江戸要素ゼロです。
トウキョウトガリネズミ的な間違いです。
お詫びして、訂正致します。



2013年1月30日水曜日

2013年を迎えて

もはや、更新に穴があいてもうろたえなくなりました、筆者です。
夢とか希望を抱いて走り出したあの頃もあったはずなのに・・

ツイッターを使い倒しているお陰、といっては言いすぎですが、個人的で脈絡のない文章を書くことに慣れてきました。ちなみに、使い倒しているのはこの間晒したあのアカウントではない方のアカウントですが・・

今年のヨコエビ活動(ヨコ活)については、実は何も動いていません。
ざっと本気でヨコ活をはじめた場合にかかる経費を洗ってみましたが、その痛手もさることながら、場所的な制約が浮き彫りになってきました。
1Kの手狭な拙宅では、研究室の机にお店を広げていた学生時代のような活動はできませぬ。
ただ、これも言い訳ですので、早く中央博に行ってIsaeidaeとPleustidaeの再検討をせい、というところですね。
意外と2月のスケジュールが詰まっていることに気付いたので、3月以降となります。久しぶりに中央博の方ともコンタクトをとっておきたいところ。

わが師の言葉に「1日1肢」という名言があります。
 「どんなに忙しくても、1日に1本の肢でも記載図を書けば、1カ月で1種を記載できる」という意味です。ヨコエビは上唇から尾節板まで、主だったものだけで20以上のパーツ,付属肢がありますので、なかなかハードではありますが、数の問題ではないですね。やるかやらないかの問題ですね。とりあえず、「1日1センテンス」の論文翻訳からやってみるべきかと。

現在海なし県に住んでおりますので、海風が恋しくもあり。
来月には某NPOの調査絡みでベントスのソーティングをやらせてもらう予定です。
リハビリせねば。



P.S.

こちらは埼玉県北部の星川という小さな川にあった看板。撮影はだいぶ前の夏。


で、出た~


毎度のことながら、雑な紹介ありがとうございます。
他の生き物は結構種まで落ちてたり、「~の仲間」と表記されている中、安定の「ヨコエビ」呼ばわり。
かくいう私はというと、淡水ヨコエビが本当に分からないのでヨコエビ上科Gammaroideaかな、とだけコメントしておきます(それじゃ駄目じゃん)。これ某マミズヨコエビに見えて仕方がないのです

これは環境改善に関する構造物の設置に関係した効果検証の調査なので、厳密な同定はあまり必要ないものだと推測されます。でも、せめて「類」をつけてほしいと思ってしまう、今日この頃。